S・S・S




「これ、よかったらどうぞ。残り物ですけど。」

「わー!さっすが、シュンくん!大好き!」


差し入れしてくれたのは、あたしの大好きなドーナッツとカフェオレ。

シュンくんの担当は、ここのカフェで。

あたしが休憩の度にドーナッツとカフェオレを注文してたら、最近はもう、あたしの放送が終わると向こうから届けてくれるようになっていた。


一日に一回、シュンくんの笑顔を見るとほっとする。

いまも… ほら。

ドーナッツを頬ばるあたしを見ながら
にこにこ、にこにこ、天使みたいに、無邪気に微笑むんだ。


そう。
シュンくんは、トウマとはまるで対極にいるようなタイプの男の子だった。



「今日も、お疲れ様でした。朝の放送、聴いてましたよ。」

「あー… あはははは… ありがとう…」


反省会で叩かれたばっかりだから、つい、情けない声が出る。




「… どうかしたんですか?元気なさそうですね。」

「んー…、自分の下手さに、落ち込んでたの。ほら、あたし若葉マークだから。」



「サラさん、人気あるのにー。ここのバイト達からも、お客さんからも。」

「えー。またまたぁ。」

「ホントですって。いつも元気だし、か… 可愛いしっ…」



――… 言いながらキミが照れてどうする。



シュンくんが赤くなって口篭ってしまったので、仕方なく、何も気づかないフリして営業スマイルで帰りを促しておいた。



「あー!なんかヤル気出てきた!ありがとね、シュンくん!」








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