S・S・S
『これは、シュンくんじゃ、ないよ……』
『トウマ、おぼえて、ないの――…?』
『―――… サ…』
―――――――…
―――――…
あの後、トウマは
言葉を失ったように、何も話さなかった。
ただ、あたしの顔を、じっと見ていた。
『―――…戻る。』
魂を抜かれたような顔をして、そう一言呟いて、出て行ったトウマ。
もしかして、思い出した――…?
そう、感じるのは
あたしの、気のせい……?
しかし、熱があったとはいえ…
夕方のアレは………
シュンくんの件も……
あれじゃぁ、拒んでるとは全く…
いや、それよりも、トウマに…
キキッ キッ… キキキ…
「あぁあぁあぁあぁーー!!もう、どうしようーー!!!」
頭を抱え込んだあたしに、サエさんが言った。
「サラちゃん? 話はあとでゆっくりお聞きするわ。……ビンテージワインのお代、高くつくわよぉ…」
サエさん、目が据わってます。怖いッス。美人が台無しです…。