S・S・S
*
「トウマっ! 待ってっ……!!」
コンクリートむき出しの殺風景な空間に、あたしの声が響いた。
聞こえてるはずなのに
なおも階段を降りていこうとするトウマを、後ろから掴んで引き止めた。
ゆっくり振り返ったその瞳には、明らかに動揺の色が浮かんでいた。
――…気のせいじゃなかった。
この人、いま… 困ってる…。
でも、どうして…?
「どうして、無視するの…」
「無視なんかしてない。」
目を合わせず、そう答えるトウマ。
「嘘っ!してるじゃない!今だって…どうして、目を逸らすの?」
「………」
――… どうして?トウマ…