S・S・S
その時
トウマが、手を伸ばしてあたしを引き寄せたのと
上から、場違いに大きな声が響いたのが、同時だった。
「おやおや… これは…お邪魔だったかな?」
―――… 冷たい空気を震わす、低くて、甘い声。
「烈火…さん……」
「………」
階段の上から声をかけてきたのは、他でもない、烈火さん。
あたしは、トウマの胸に頭を預けた状態で、その声を聞いていた。
そのまま、コツン、コツン、と鉄製の板を鳴らして降りてきた彼は、あたしではなくトウマだけに視線を向けて言った。
「これは…どういう事かな?トーマス…」
「………っ」
「安藤サラに手を出すな、と言っておいたはずだが――…」
―――… な に…?