S・S・S



「……あらま。またすごいレアな曲を1曲目に持ってきたわね、サラちゃん!それ、私物?よく知ってるわね……trap(トラップ)なんて。」


いつの間にか、泉さんが灯歌ちゃんの後ろに立っていて。

あたしが手にしたCDを見て、驚いた様子でそう言った。



「………って、んな訳ないか。それ、灯歌ちゃんが持ってきた音源よね?」


くすっと笑いを零しながら泉さんは灯歌ちゃんを小突く。


「うわっ……なんでバレるの!?泉さん、何者!?」


「分かるわよ!当たり前でしょ。そのシングル、貴重なのよ。

絶対、そのうちプレミアがついて、高値で取引されるようになるわよ…ふふふ。」



”trap(トラップ)”

それが、バンドの名前だった。



trap、、、=罠



今、まさに始まろうとする頂上決戦(←大袈裟な)。

この先に、数々の「罠」が大口を開けてあたしを待っているなんて、その時のあたしは知る由もなかった。








< 171 / 452 >

この作品をシェア

pagetop