S・S・S
「……あらま。またすごいレアな曲を1曲目に持ってきたわね、サラちゃん!それ、私物?よく知ってるわね……trap(トラップ)なんて。」
いつの間にか、泉さんが灯歌ちゃんの後ろに立っていて。
あたしが手にしたCDを見て、驚いた様子でそう言った。
「………って、んな訳ないか。それ、灯歌ちゃんが持ってきた音源よね?」
くすっと笑いを零しながら泉さんは灯歌ちゃんを小突く。
「うわっ……なんでバレるの!?泉さん、何者!?」
「分かるわよ!当たり前でしょ。そのシングル、貴重なのよ。
絶対、そのうちプレミアがついて、高値で取引されるようになるわよ…ふふふ。」
”trap(トラップ)”
それが、バンドの名前だった。
trap、、、=罠
今、まさに始まろうとする頂上決戦(←大袈裟な)。
この先に、数々の「罠」が大口を開けてあたしを待っているなんて、その時のあたしは知る由もなかった。