S・S・S
「DJ大崎がライブでお届けしてきた2時間!いかがでしたかー!?あっという間に終わっちゃったぜ!………」
大崎くんがエンディングトークを始めた時、
大きな影が、あたしたちの後ろをすり抜けて行った。
……『Open The Door/trap』。
はて。
確かに、あたしが持ってるCDのタイトルには、そう書いてあるよ。
………だけどさ。
それ、メタファーとか、暗示とか、そーゆー類のものだったの……!?いや、今は作者の意図なんかどーでもいい。とにかく!
その黒い影は、あろう事がオンエア中のブースの扉を、まさしく―…『開けた』のだった。
(※注:オンエア中、特にDJが喋ってる最中は、ドアを開けてはいけません。基本的に!←雑音が入るし、喋り手がびっくりするから)
―――――…
「さて、この後登場するのは――…えっ!?」
黒い影は、トーク中の大崎くんに小さな紙キレを渡した。
説明するまでもない。
黒い大きな影、とは
―…烈火さん、なのだが。
「…………?」
ガラス張りのブースの中
無言ではあるが、大崎くんが烈火さんの指示に慌てた様子を見せる。
それに対し、無言で首を縦に振り、メモ用紙を指さす烈火さん。
どうやら、あの紙に書いてある事を読め、と大崎くんに言ってるらしい。
大崎くんが、メモを手に取ると同時に
烈火さんが、あたしを見て、ニヤリと―…笑った。
―――…イヤな予感が、した。