S・S・S
バタン、と音を立てて扉が閉まった瞬間
外の世界と遮断されて、“閉じ込められた”気がした。
「なん…ですか?」
高い天井に、あたしの声が反響する。
踊り場は、寒かった。
吐いた息が、途端に白くなるくらい。
トウマが、近い。
視線を絡め取られたまま、囁くように名前を呼ばれた。
「サラ………」
――… だから、ズルイってば。
そんな目で見ないで。
そんな声で呼ばないでよ。
じりじりと距離を詰めてくるトウマに
自然と、足が後ずさる。
―――… なに?なんなの??
トン、と背中が壁に当たって
それ以上、逃げ場がないことを知った。
――…心臓の音が、うるさい…