S・S・S



――…



「改めまして、こんにちはー!DJのサラです。いやー昼間からひと風呂浴びて完全にリラックスモード、失礼してます(笑)。

そうそう、白川スノーリゾートには天然温泉“星空の湯”がありますので、ちょっと休憩~なんて方はそちらへ是非どうぞ♪」



あたし、こんなにちゃっかりしてたっけ?

“お風呂”ネタついでに
スキー場の宣伝もしてみたり。




そして―…バックに流れる曲が変わる。




「さて、そろそろ仕事に戻りたいと思います。“バスルーム”の“扉を開けて”―…

続いてのナンバーは最近どんどん知名度を上げてきている彼ら…『trap』です★

メジャーデビュー目前、今一番熱いと言われているバンド、trap。曲は…

 『Open The Door』―…」




メロディラインを
激しいドラムが打ちつける。

カッコイイ。骨太ロックだ。


Trapを知っているのか、ファンなのか。

何人かのお客さんが
ゲレンデで飛び跳ねてる。




『BATHROOM』から『Open The Door』

―…あの2分で咄嗟に考えたにしては、なかなか上手く繋がったんじゃないかって思う。

“星空の湯”まで宣伝したし。




ねぇ、トウマ。

あたし、ちゃんと―…DJ、出来てる?

あなたの期待に―…応えられてる?



そんな風に思いながら

ふと視線を感じて後ろを振り返って…




―…倒れるかと、思った。





ガラス越しに

トウマが…

見たこともない笑顔で、立ってたんだ。



“Good job!”って…右手の親指を立てて。





言葉がなくても


それは、誰にもらうより、嬉しい賞賛だった。






・・・泣けちゃうくらい。








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