S・S・S
「… 最終確認だが…」
指令は、特に難しいものではなかった。
レストランで食事中のファミリーを見つけて、インタビューする。
最後に、サンタからプレゼントを渡して、リクエストを1曲聞いて、お届けする。
それだけ。
占めて5分といったところ。
「リクエストだけ、あらかじめ聞いて、スタジオにお伝えすればいいんですよね?」
「あぁ。それと、分かってると思うが演歌とアニメソングはNGだからな。」
「はい、聞いてます。」
ここの局は、演歌とアニメソングはオンエアしない。
カラーを統一するための方針なんだそうだ。
ましてや、“カッコいい”を売りにしてるトウマの時間帯にはJ-POPだってあんまり流れない。
なんかよくわかんない横文字のおしゃれサウンドがほとんどだ。
「洋楽・邦楽のクリスマスソングでリクエストもらいますから大丈夫です。」
「おう。それから… お前、なにも考えてないだろうから忠告してやるけど、“公共の電波”だからな。」
「なっ…“何も考えてない”って!失礼ですよ、トウマさん!」
あたしだって、色々真剣に悩んでるの!
大半は煩悩まみれですけれども!
「――… 先輩の忠告は素直に聞いとけ。……… 」
そう言ってこっそり耳打ちされたその“忠告”は、あたしの鼓動を更に加速させた。
(いや、決して耳元で囁かれて感じてしまったからとかそーゆー不埒な理由ではなく←)
――――――…