S・S・S
思わず俯いた頭の上で、小さなため息の漏れる音が聴こえた。
「お前、何も分かってない。」
「――…え?」
「―――……」
トウマの顔が降りてきた瞬間
首筋に、ざわりとした感触が走って
ぴくり、身体が震えた。
耳元で小さく囁かれたその、言葉に
心が、震えた。
「…“ファン”は、大切にしろよ」
なにかをされた訳じゃないのに、
身体の内側を撫でられたような、気がした。
ひとり、残されたホテルのロビー。
さっきまで傍にあったトウマの温もりと声が
いつまでも身体の中に熱を宿して
なんだか、無性に
泣きたく、なった―――…