S・S・S
――――…
「 あたし? チケットなら持ってますよ?」
昨夜、江口奏さんにもらったtrapの年越しライブのチケット。
あんなに彼らが好きなら、さぞや灯歌ちゃんも行きたいだろうと思って、翌日ホテルの朝食会場でそう聞いたら、彼女は事もなげに言い放った。
「 だって、数量限定のシングル買ったら、中に年越しライブの招待券も入ってるんですもん。」
ピラリ★と見せてくれた手元のチケットは、合計2枚。
なるほど、ファンなら当然、か…
でも。
「え、じゃあ灯歌ちゃん、明日、そのライブ行くの!? って――… え?……誰と??」
「それが、もぉ!!サラちゃん!聞いてくださいよ!烈火さんってば!」
灯歌ちゃんが手に持ったシリアル用のスプーンが、彼女の怒りを乗せてミルクの海へとダイブする。
パシャン!と小気味良い音を立てて。