S・S・S
白い頬をピンクに染めてぷう、と膨れる彼女は、最高に可愛かった。
…少なくとも、ひとつ向こうの席にいた大崎くんが目をハートにして釘付けにしてしまうくらいには。
ま、灯歌ちゃんが
それに気付くはずもないんだけど。
「烈火さんってば、『深夜の年越しライブなんてとんでもないYO!』って。
『飢えた獣の中に羊をほうり込むようなものだ。絶対、ダメだからNE』って。
だったら、烈火さんが連れてってくれたらいいじゃないですか、ねぇ!?あたし、絶対行くつもりだったのに!!」
しまった……
これじゃあ、トウマと一緒に行くなんて……言いにくいじゃない。
「あ、でもサラちゃん、チケット持ってるってことは… 明日、ライブ、行くんですかっ!?」
「えー…………っと…」
沈黙は、肯定だ。
灯歌ちゃんは、ふと視線を遠くにやった。
その先に、ライブ会場を見ていたのだろう。
さくらんぼみたいな唇から、ため息が漏れる。
「いいなぁ…あたしも行きたかったなぁ―…あーあ。…誰か、連れてってくれないかなぁ…」
「あああああああああのあのあのっ!!」