S・S・S






20:55、微かな予感があたしの胸に陰を落として、華麗なダンスタイムは終わりを告げる。



あたし達と離れている間に、よりによって明ちゃんと奏さんはケンカをしたらしい。


「江口さんと楽しめた?」

美加ちゃんの質問に、


「…別に、全然、楽しくなかった」

むくれてそう答えた明ちゃん。


、、、なんでそうなっちゃうの?

一体、何があったんだろう。



「奏、、、あの阿呆が」

トウマは頭を抱えていた。





「それでは主役の登場だYO!Come on, guys!It's show time !!!」


烈火さんのキッカケで一瞬会場が真っ暗になる。そして、地を揺らすような太いドラムが会場の空気を震わせた。

「エグチ」の、登場―…!



――…まるで、別人だね。



ステージで光を一身に浴びる奏さんは、間違いなくスターだった。

インディーズだからとか、フロントマンじゃないからとか、関係なく。


「エグチ」は目立ってた。漲る自信と揺るぎない演奏がそうさせるのだろうか。



「カッコイイ…」


知らず知らず、ため息が漏れる。




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