S・S・S
*
高速を途中で降りて、しばらく。
峠を少し上ってトウマが車を停めたのは、意外にも、真っ暗な場所にぽつんと立つ小さな山小屋だった。
ほんとうに真っ暗で、辺りには他に何もない。
ただ…サァァァ、と川の流れる音だけが響いていた。
「…起きろ、サラ。着いたぞ。」
頭をコツンと小突かれる。
「ん、」
…寝てた、ふりをした。
本当はずっと起きてた。
ライブの興奮は冷めないし
隣でずっとトウマの気配がしていて
さぁどうぞ、と言われて
ハイ、じゃあオヤスミナサイ、って
素直に眠れるほど、あたし、根性座ってない。