S・S・S





高速を途中で降りて、しばらく。

峠を少し上ってトウマが車を停めたのは、意外にも、真っ暗な場所にぽつんと立つ小さな山小屋だった。

ほんとうに真っ暗で、辺りには他に何もない。

ただ…サァァァ、と川の流れる音だけが響いていた。




「…起きろ、サラ。着いたぞ。」

頭をコツンと小突かれる。


「ん、」

…寝てた、ふりをした。

本当はずっと起きてた。
ライブの興奮は冷めないし
隣でずっとトウマの気配がしていて

さぁどうぞ、と言われて
ハイ、じゃあオヤスミナサイ、って


素直に眠れるほど、あたし、根性座ってない。



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