S・S・S


「…失礼しまーす。あ、いたいた。サラさん、お疲れ様でした!これ、食べます?残り物ですみませんが。」

トレイにいっぱいのお菓子を乗せて、シュンくんがやって来た。
仕事終わりでラフな服に着替えている。歳相応のパーカーにジーンズ。帽子を脱いだ頭は髪がくしゃっと崩れていて、なんだかワンコみたいで可愛い。


「わぁ、ありがとう。うれしいな。お腹空いてたし、疲れてるから甘いもの欲しかったの。」

「サラさん、いつもそんなこと言ってますよ。」

隣に座って、クスッと小さな笑いを零したシュンくんの目が意地悪そうな色を宿す。


「…そんなところも、可愛いですけどね。」

そして片方の目が綺麗に閉じて、ウィンクをひとつ。


…・・っ、がぁぁぁぁぁぁあ!!!

甘い甘い甘い!

やめてやめてやめて!
(耐えるのよ、サラっ!!)

あまりの至近距離攻撃に、背中を汗が一筋、ふた筋。

ダメだ、この空気、変えないとっ!!
何しに来たんだか分からなくなっちゃう!!



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