S・S・S
「…ごめんなさい。甘えたことを言ってるって分かってる。だけど…今回のこともそうだし、前回のモモがしでかしたハプニングの時にも感じたことなんだけど、何かを発信する仕事って、世の中に与える影響が大きいんだって自覚したっていうか…。」
話しながら、だんだん実感が伴ってくる。そうだ。不安の原因は、責任の大きさを自覚したからだ。
「…いまはゲレンデ内の放送だから聴く人は限られてるけど、春からは公共の電波であたしのトークが流れて、それが不特定多数の人に聴かれるわけでしょ。それだけ、あたしの名前も知られるわけで。もし、今回みたいに問題が起きたら…って考えると…怖いなぁって思ったの。」
こんなこと、話して。怒られるかと思った。
そんな中途半端な気持ちならやめておけって。
だけど、トウマは怒らなかった。
「そのことを、誰にも教わらずに自覚できただけでも大したもんだと思うぞ。普通は取り返しのつかない失敗をやらかしてから気付くんだからな。」
「…へ?」
「良かったな。お前はバカじゃないってことだ。」
そう言って、不意にあたしのおデコをピンと弾いた。
(何すんのよっ!?)