S・S・S
「い、…いつもバカって言うくせにっ!」
「お前こそオレのこといつもバカって言ってるじゃないか。」
「あれはそういう意味じゃないもんっ!」
「じゃあどういう意味なんだ。」
「そ………っ!」
――― …それは。
息が、詰まりそうだ。
こんな風にじゃれ合うみたいに言い合いが出来るなんて。こんなに近くで、見つめあって、何気無く触れ合える、なんて。
アナタノコトガ スキ
いつも、ただ、それだけのことなの。
それが言えないから、
それを分かってもらえないから
どうしようもなくて
出る言葉が“バカ”なのに。
それを聞くなんて、ひどい。
口に出せないのが、もどかしい。
「……苦しい。」
心臓が。肺が。リアルに、痛い。苦しい。トウマの、バカっ!
「どうした。」
「どうもしないっ!」
「顔が赤いぞ。」
「気のせいですっ!」
「具合が悪いのか?」
「…本気で聞いてるの!?ほんとに、バカなの!?」
あなたが、好きなんです!
言って、いいわけ!?
言ったら、、
言ったら、困るだけのくせに…
「…冗談だ。そう怒るな。」
半分涙目で睨むあたしにそう言って、トウマは席を立った。
「トウマ……っ」