S・S・S
「…まぁ、座りなさい。話が長くなりそうだ。」
そう言って、烈火さんはあたしに向かいのソファに座るよう促した。うーん、ふかふか。腹筋鍛えてないとまっすぐ背中を保てないわっ。
軽く夢見心地になりかけたあたしに、烈火さんはいきなり剛速球のデッドボールを食らわせた。
「まず、何から話そうか…あれとは長い付き合いになるのでね。そう、彼がカリフォルニアで両親を喪って、うちに身を寄せていた頃からの。15になるかならないか、そのくらいだったかな。」
「…はい?」
「不幸な事件だった。アメリカの犯罪率は日本とは比べ物にならないからね。かわいそうで、見ていられなかったよ。」
トウマの両親の、死?
15歳って…まだ中学…
「昔はもっと、素直で明るくて天真爛漫な子だったんだ。けれども、あれからすべてが変わってしまった。暗い目をして、容易に他人を信用しなくなった。…経緯を知れば、無理もないことだが。」
…ちょっと、待って。
「っと、ちょっとちょっと!待って!待ってください、烈火さん!そんな大事な話、あたし勝手に聞けませんっ!!ト…トウマが…っ…」
トウマの両親が、亡くなっていて。天涯孤独の身で。烈火さんは、そんな頃からの知り合いで…?そんなの、知らない。
「トウマが、話してもいないことを、あたし、勝手に聞けません。そんな大事なこと…」
直接、聞きたいよ。