S・S・S
烈火さんは立ち上がってあたしの頭に手を置いた。
ふわり、髪が波打つ。
懐かしむような遠い目をして、烈火さんは言った。
「キミは、ほんとうに……似ているな。」
「はい?」
似て、いる…?
「トーマスが手放さないわけだ。」
「…誰のこと、ですか。」
至近距離で烈火さんと対峙する。
頬を照らす暖炉の火はますます燃え盛る。
あつい。
でも、目線を反らしたら、負けだ。
無言の間、あたしはニットと素肌の隙間に、つっと一筋汗が流れていったのをただ感じていた。
「…“そんな大事なこと”はトーマスに直接聞きたまえ。」
あっ、ちくしょ、このおっさん…!
(アラ失礼)
ひとの挙げ足取りやがってぇっ…!!
(はいはい失礼)
「聞かなくても、知ってますよもうっ!!!誰だか知らないけど、トウマの心の中にいる、大事なひとのことでしょう!?あたしと、同じ名前のっ…!!」