S・S・S



…髪を切った。
もう、30センチくらい、バッサリと。
美容院のお姉さんも、若干ビビってた。


だって。
このままじゃ、戦えないと思ったんだ。

“Sarah”さんとあたしの名前以外の共通項は、きっと、“髪”だ。長い、ふわふわの髪。烈火さんと話していて、わかった。
それがあるからこそ、トウマがあたしを気に留めてくれたのだと気付いてしまった、から。


だから。
もう、捨てたかった。

あたしの中に、Sarahさんを探さないで欲しかった。そんなもの、もう綺麗さっぱり無くしてやろう、って。半分イジワルな気持ちで、切った。

こんなにバッサリ切ったのは生まれて初めてでかなり勇気が必要だったけど。でも、切って良かった。首に感じる冷気とともに、背筋がしゃんとする。



ちゃんと、諦める。
想いを、断ち切る。


その、覚悟をするには、このくらいの事をしないと、全然… 全然、前に進めなさそうだったから。



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