S・S・S



「あっ!とーまっ!」
「おはようございます!トウマさんっ!」
「お疲れさまでーすっ!」

「ああ、みんな早いな。きょうは安藤のラストの日だ、から………」


遅れてやって来たトウマが、あたしを見つけて言葉を止めた。


「…おはようございます、トウマさん。」

「サラ……」


この人でも、こんな顔をすることがあるんだ。
切れ長の目を見開いて、信じられない、とでも言いたげな表情。


「…どうした、失恋でもしたのか?このタイミングで髪を切るとは、意味深だな。」


出てきた声は、ちょっと戸惑ったようなかすれ声。
なんだ、分かってんじゃん。


「その通りです。お陰さまで、スッキリしましたよ。」

「は?」

「きょうでラストです!花道飾ってやりますから、どーぞよろしくお願いいたします!」

「あ、オイ、サラっ!」


< 407 / 452 >

この作品をシェア

pagetop