S・S・S
いやいや、ちょっと待て。
モモのビックリ発言に、あたしと大崎くんは思わず顔を見合わせてしまった。
――…そんな事までしてあげてるの?トウマってば。
確かに。
トウマは、あたしにそんな事しない。
でも、して欲しいとも思わない。
だって、それって
モモ、この仕事の面白さを何もわかってないってことじゃん?
DJって、“ディスクジョッキー”だよ。
ディスク(CD)を、選んで繋げて、ナンボの商売だよ?
どういう選曲するかで自分のセンスが問われるし、だからこそ曲を決めるのが一番楽しいのに。
それを1から10まで全部トウマが決めるってことは、つまり…
“お前の個性は要らない”
“余計なことすんな”
って、言われてるようなもの。
「あのさ… モモ、そんなことされて悔しくないの?」
思わずそう言ってしまったけど
あたしの真意なんて伝わるはずもなくて
「悔しい?…あたしが?…どぉして? …悔しいのは、サラちゃんの方じゃないの?」
見当違いの対抗心に
火をつけてしまっただけだった。