S・S・S





両手でトウマの肩を掴んだまま、

あたしは状況をうまく把握できずにいた。






ただ、

頭で理解するよりも早く


なにか――…

本能みたいなものが、しきりに警告を発していた。






“ハヤク、ニゲロ” ――…って。





お湯が、とてもぬるく感じる。


深夜の露天は、温める速度よりも、外気に晒され冷えていくスピードが勝ってるのか。


代わりに、触れ合う肌の熱さが、際立つ。




どうして、トウマがここに―――…?





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