S・S・S



静止。 

そして―――痛いほどの、静寂。


雪が全ての雑音を吸い取って、辺りは完全な無音の世界。

ただ、湧き出るお湯のちろちろという音だけが、響いていた。




トウマの目は、何も捉えていなくて。

視線はあたしを通り越して、ひたすら空の一点に集中していた。








「トウ、マ…?」






もしかして… まだ、寝てる?


それなら、好都合。
このまま、逃げてしまえばいい。

原因究明は、置いといて。

とりあえず、この危機的状況から一刻も早く脱出した方がいい。




< 80 / 452 >

この作品をシェア

pagetop