S・S・S
静止。
そして―――痛いほどの、静寂。
雪が全ての雑音を吸い取って、辺りは完全な無音の世界。
ただ、湧き出るお湯のちろちろという音だけが、響いていた。
トウマの目は、何も捉えていなくて。
視線はあたしを通り越して、ひたすら空の一点に集中していた。
「トウ、マ…?」
もしかして… まだ、寝てる?
それなら、好都合。
このまま、逃げてしまえばいい。
原因究明は、置いといて。
とりあえず、この危機的状況から一刻も早く脱出した方がいい。