S・S・S
「ちょ…っ……待っ……トウマっ!!」
頬をひと撫でされて
全身が、火照る。
だって、もうこれ以上ないほどトウマが近くにいて。
腕の力だけは強いのに
黙ったままの、その眼差しは
いつになく優しさに満ちていて。
好きな人にこんな風にされて
平静でいられる女の子が、どこにいるっていうの?
トウマの瞳は、あたしを捕らえたまま、放さない。
――…ダメかもしれない。
ズルい。
こんな愛おしそうに見つめられたら
逃げ出せないじゃない。
「どー…して?」
呟いたあたしの唇を、人指し指で塞いで
「Siii………」
“黙って”、と
そのまま右にスライドしたトウマの指先に、先に触れたのは
あたしの舌先だったか
トウマの、唇、だったか―――…