S・S・S
「…トウマ?」
そのことに気づいた瞬間
熱に浮かされたようになっていた頭が、急速に冷えていった。
こんな時に限って勘の良い自分が、恨めしい。
「Sarah……」
ほら。
トウマの瞳はあたしを見つめているけれど、どこか現実感がない。
それは 彼が
まだ、夢の世界を漂っている証拠じゃない?
……あたしだって、子供じゃない。
この愛撫が、何を意味しているのか、わかる。
このまま、何も気付かないふりをして、流れに身を任せることだって、できる。
(多分、モモだったらそうすると思う。)
だけど。
それって、なんか、ちがう。
――…違うと思いませんか、みなさん。