S・S・S





「…トウマっ!」




息も絶え絶えに抵抗するあたしに

続いてトウマが甘く囁いたひとことに



きゅん、とするどころか

プチン、と切れてしまったあたしは…






少女小説の主人公、失格でしょうか。





「My sweet…, Don’t be nervous…」




――…なにが、“マイ・スウィート”だコラ…






「にっ…… 日本語で言えーーー!!!!!」



クリーンヒット。



パァン!と
小気味のいい破裂音がひとつ

綺麗に、夜空に吸い込まれていった。














かくして、甘い夜は更ける。


赤い、2つの爪痕を残して。




トウマの頬の、赤い手形と

あたしの首筋の、赤い花びら。





それは、消えない証拠となって

翌日から

新たな紛争の種となったのである。










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