S・S・S




12月26日、日曜日 
AM 7:30


奇しくも翌日は
“風呂(26)の日”だったらしい。

でも、そんなこと
今のあたしにはどうでもいい。


大事なのは…



「今日… あたし出られますかねぇ…」


サエさんに相談する声も震える、あたしの絶不調の体である。




どうしよう。

今日は10時から、朝イチ担当なのに。





あたしの額に手を当てたサエさんが、驚いたような声を上げた。



「あっつ…!… どーして、露天で暖まって来なかったのよ、昨夜!」




“昨夜(ゆうべ)”――…




「いや、ちゃんとお湯には浸かったはずなんですけど…」







――――…嘘。



浸ったのは、束の間の夢。




そう。昨日の露天風呂は、寒かったんだ。

ホテルまで走る間に
濡れた長い髪が全身を冷やしてしまって


部屋に戻ってシャワーを浴びたけど、どうやら「時すでに遅し」だったみたい。







――… 頭が、重い。




後ろも振り返らず、トウマを張っ倒して逃げ帰ってきちゃった、昨日の深夜。




彼は――… あれから、どうしたんだろう。





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