S・S・S
「――…サラが、熱って?」
――――――… あ、れ?
サエさんと二言、三言交わす彼の様子が、あまりにも普段どおりで。
昨夜のことは、全部夢だったんじゃないかとさえ思った。
けど……… 夢、なんかじゃない。
だって、その頬は、
ほのかに赤く、腫れていたから。
「… 何度?」
「は?」
あたしに向かって言ったトウマの言葉を
はじめは、聞き違いかと思った。
ねぇ。あたしの熱の高さを聞いてる場合じゃなくない?
「熱。何度あるんだ?」
「………… はぁ。」
もっとこう…他に、言うことあるんじゃないの!?
昨日のアレは、一体なんだったわけ!?
「… 7度8分です。」
「そうか。…出られそうか?」
…… 仕事に? って、意味よね?
「………… 休みたいです。」
思わず、そう言ってしまった。
だって、年末だからDJ陣は人員過多で。
あたしじゃなくても、他にもいっぱい喋り手はいるんだもん。
急で申し訳ない気持ちはあるけど、体調の悪い時くらい交代して欲しい。
とてもじゃないけど、今日は明るくおしゃべりできるような気分じゃない。