幸せの在りか
11.絡んだ糸
しばらくして泣き止むと、誠に聞いてみた。
「ねえ、中田圭一って知ってる?」
「中田圭一?いや、知らねえけど。」
「よく思い出して。12~13年位前だと思う。チビで泣き虫の男の子いたでしょう?」
「んー、いたような…いなかったような…?」
「『ケイちゃん』て呼ばれてたって。」
「…中田圭一…てチビで泣き虫だった奴だよな。あー、いたいた、そんな奴。
田舎に住んでた時、近所にそいつの母方の実家があって、毎年夏に遊びに来てたんだ。
何やってもどんくさい奴でさ、蝉一匹捕まえられなかったんだ。
そんな奴を見かねたヨシザキマコトが、特訓してやるとか言って、何か色々やってたみたいだったな。…何でお前が中田圭一知ってんの?」
「クラスメートなの。」
「え?じゃあ、迎えに行った家か?」
「うん。」