幸せの在りか


「お前の母親の名前は!?もしかして、ササガワ ケイコ…か?」

「な…んで、知ってんの?」

口に出したくもない名前だった。

一度も愛してもらった事のない女の名前。

何で誠が知っているのか…。

「その人、俺の叔母さん。」

「…え?」

「俺の母親の妹だ。」

「…う…嘘。嘘よ、そんなの。だって私は誠と会ってない…!誠だってそんな事、一言も…。」

「お前がばあさんに預けられる少し前、俺は父方の親戚に引き取られたんだ。だから会わなかった。」

「そんな…。」

運命の悪戯か…。少しでもどちらかの時期がずれていれば、会えたかもしれないのに。

私に血の繋がった人がいた。しかもこんなすぐ傍に。




< 123 / 167 >

この作品をシェア

pagetop