幸せの在りか
「お前の母親の名前は!?もしかして、ササガワ ケイコ…か?」
「な…んで、知ってんの?」
口に出したくもない名前だった。
一度も愛してもらった事のない女の名前。
何で誠が知っているのか…。
「その人、俺の叔母さん。」
「…え?」
「俺の母親の妹だ。」
「…う…嘘。嘘よ、そんなの。だって私は誠と会ってない…!誠だってそんな事、一言も…。」
「お前がばあさんに預けられる少し前、俺は父方の親戚に引き取られたんだ。だから会わなかった。」
「そんな…。」
運命の悪戯か…。少しでもどちらかの時期がずれていれば、会えたかもしれないのに。
私に血の繋がった人がいた。しかもこんなすぐ傍に。