幸せの在りか
否。複雑に見えて実は単純だったのかもしれない。
すぐ傍に幸せはあったのにそれに気付かなかっただけ。
「誠…。私、もうこの家出るよ。いくら従兄でも、これ以上迷惑かけられない…。誠が同じ街にいると思うと、それだけで安心できるから…。」
「…駄目だ。何言ってんだ。俺は一度だって迷惑だなんて思ったことはない。一緒に住んで良かったと思ってるのに。」
「……。」
「出て行くなんて言うな。お前がいたから、俺は救われたんだ。
仕事から帰ると、家に明かりがついてて、お前が迎えてくれて…。それがどんなに癒されていたか。
また、俺に一人になれというのか?」
「……。本当は…一緒にいたい。でもそれじゃ彼女もできないんだよ?」