幸せの在りか


80歳位のおばあさんが入って来て、私たちの前に座った。

「いらっしゃい。」

私たちの顔をじっと見つめると、目を潤ませた。

「二人とも大きゅうなって…。フクさんが生きとったら喜んだやろに。

元気にしとったんか?ワシはフクさんと仲良うしとったけぇ、あんたらの話はよう聞いとったんよ。」

「はい。お陰さまで元気にしてます。お婆さんもお元気そうで何よりです。」

「そういや、お前さんらはこっちにおった時は、入れ違いに来よったと思うたけんど…?」

「たまたま同じ町に住んでて、知り合ったんです。」

「ほう…そうか。そないな事もあるんか。あんたらが出会うたのも何かの縁じゃの。

二人ともワシの事は覚えとるか?」

「…いえ、あんまり覚えてなくて…。すみません。」

「ええよ。気にせんで。ワシにも毎年夏休みに来とった孫がおるけんど、今じゃちっとも寄り付かん。『圭一』ちゅう名前でな。よう一緒に遊んどったけんど、覚えとらんけ?」

「え…?もしかして中田圭一君の…おばあちゃん?」




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