幸せの在りか
4.契約
誠の家に着いて鍵を探してみたけど、見当たらない。
「あれ、…どこに置いたっけ?」
「ここにあるよ。」
そう言って、鍵のキーホルダーについたリングの部分を持ち上げて、プラプラさせた。
「え…何?もしかして、持ってたのに持ってないって言ったの!?」
「さあね。これ、どうしても欲しい?」
「返して!」
鍵に飛び付いて奪おうとするけれど届かない。
何度もするうちにくたびれてきた。肩で息をする私に、「俺の話、聞けよ。」と言った。
「何よ!」
横目で睨んだ。
「提案その1。俺とこの部屋、ルームシェアしない?」
「ルームシェア?」
「そ。間借りしないかって言ってんの。」
「何でよ。」