幸せの在りか


何とも言えない穏やかな空気に包まれた。お互いの視線が絡み合い、見つめ合ったまま目が離せない。

その時、一段ときつい風が吹いて、窓ガラスが揺れた。はっとして、

「冷めちゃうよ。早く食べよ。」

と言ってうどんを口に運んだ。




布団の中に入って、今日学校であった事を話した。

「私ね、今までろくに掃除当番したことなくて、今日委員長に呼び止められたの。

最初は皆帰っちゃったのに何で私だけ…て思ってた。

でも、一人すごい真面目な子がいて、『ありがとう。』て言われた。

『一人でするより、二人でして早く終わった。』て。

あのクラスになって半年以上経つのに初めて口きいて…。友達になれたらいいなって。」

「そっか。そうやって色んな人の色んな一面を知っていくのはいいことだ。よかったな。」

「うん。」



< 57 / 167 >

この作品をシェア

pagetop