幸せの在りか


そうだ。誠の事何一つ知らない。ただ一緒に住んでて、優しいって事に気付いただけ。今まで辛い思いしかしてこなかった私に、人の温もりを教えてくれた。

私が知ってるのはそれだけ。

「もう答えたんだから、ケータイ返して。」

「まだ駄目だ。君は俺に嘘ついたんだから、そのお詫びはしてもらわなきゃ。」

「私、嘘なんか…!」

「へー、ついてないって言うの?ケータイ持ってないって言ったのは誰だよ?」

「……。」

「今からついて来て。」

そう言うと、手首を掴まれて正門まで行った。

「君の自転車借りるよ。後ろに乗って。」

黙ったまま後ろに乗った。




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