ホントのキモチ 〜あなたに伝えたいこと〜
なんか…嬉しいな。
こんなに喜ぶなんて…
全く思わなかった。
「俺……欲しいかも、これ。」
だから、そう言われた時にはさらに驚いてしまった。
「い、いや……ダメ!!」
でも…
出来損ないを村沢にあげる訳にはいかなかった。
「なんで…?」
もっと…
ちゃんとしたもの、あげたい。
「なんでって…それ、急いで描いたし、色も塗ってないから……」
「秋山……」
そんなにこだわるか?とでも言いたげな目で、村沢は私を見ていた。
けど…
すぐにいつもの笑顔に戻って、ノートを返してくれた。
「じゃあ……卒業式。」
「…え?」
卒業式って……
まだまだ先じゃん─
「卒業式に、お前が思う完璧な俺の絵を描いて提出しろ!……それが、俺からの最後の課題だ。」
期限いっぱいあるから、この課題超余裕だな〜
そう言って村沢は、どこか寂しそうに笑っていた。