ホントのキモチ 〜あなたに伝えたいこと〜
「その顔……お前、忘れてただろ?」
村沢はそう言って、はぁ…と大げさにため息をついた。
「俺でも覚えてるのに。当事者のお前が、忘れてどうすんだよ……」
そう。
私が指定校で受けた大学は、ここから少し離れたところにある。
県が違うし、通学も難しいから、私だけ1人暮らしをすることになってたんだ。
「……嫌だ。引っ越したら…村沢と離れちゃう。」
「何を今更……もう決まったことだろ?それだけは、どうにもなんないよ。」
そんな……
「また泣きそうな顔して……大丈夫だよ。海外とかじゃないんだし、会おうと思えば会えるんだから…たった片道3時間だろ?」
そんな距離ぐらい、俺が飛び越えて行ってやる。
村沢は、笑顔の次にお得意のキザなセリフを言って、私の頭を撫でてくれた。