ホントのキモチ 〜あなたに伝えたいこと〜
やだなぁ…
なんか、変な空気─
村沢、早く職員室に戻ればいいのに…
何を思ってるのか、教室から出ようとはしない。
自分の化学の教科書をパラパラ捲りながら、たまに私の方を見ては目を逸らす。
「ねぇ、村沢ってさ……」
もう…耐えらんない!!
そう思った私は、村沢に声をかけた。
「ん?てかお前……俺のこと、呼び捨てにするんだな。」
まぁ、いいけど。
そう言って、村沢は笑いながら立ち上がり、黒板の前まで歩いて行った。
「で、なに?」
「あ、あぁ…村沢って、たとえ相手が1人でも、わかるまで教えるんだね。」
今日の村沢を見て思った。
夢芽が『わかんない』と言ったところは、時間がかかっても根気強く教えてた。
村沢だって、別に暇な訳じゃないはずなのに…
「なんだ…そんなこと?当たり前だろ…それが、俺の仕事なんだよ。」