ホントのキモチ 〜あなたに伝えたいこと〜



細川くんの言葉に感心していると、突然私の名前を呼ぶ大きな声が聞こえた。



聞き覚えのある声…



振り返ってみると、化学準備室辺りの窓から村沢が顔を出し、こっちに向かって手を振っていた。



なにやってんの…あいつ?



「あれ…圭悟先生?」



細川くんはカバンからメガネを取り出し、村沢がいる方を見て言った。



村沢は私たち生徒と一番年が近い先生ということで、親しみを込めて『圭悟先生』と呼ばれていた。



私は…
呼ばないけど。



「やっぱりそうだ。お〜い、圭悟先生〜!!!」



そんなことを考えていると、細川くんが村沢に向かって手を振り返していた。



私は立ち尽くしたまま。



「お前ら〜、帰んのか〜?」



カバン持って、自転車押して、校門の前にいたら、帰ろうとしてるのはわかるでしょ…?









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