ホントのキモチ 〜あなたに伝えたいこと〜
「あ……村沢、これ。」
立ち上がった時に、私の肩から滑り落ちたジャケット。
さっき…
村沢が私にかけてくれたもの。
それを拾い上げ、少し整えてから村沢に渡す。
「いや、いいよ。お前が着てろ。」
え……?
「でもっ…外、寒いし…」
「なら尚更だよ。体冷やしたら、また腹痛ひどくなるかもしれないし……」
そう言って、村沢は私の手からジャケットを取り、今度はしっかりと私に羽織らせた。
「…あ、ありがと。」
「別に…大したことじゃないよ。当然のこと、してるだけ。」
当然のこと……
そうだよね。
……わかってる。
「歩けるか?」
「うん……大丈夫。」
複雑な気持ちを隠したまま、私は時々村沢に支えてもらって、バスのところまで移動した。