エガオ
★2


放課後になり私は担任に言われた事を実行した。


それは



『高階君
よかったら校舎案内しようか?

来たばっかじゃ何もわからないでしょ』


そう

校舎案内だ。



昼休みに担任に呼ばれ頼まれてしまった。


何で私なんだろう

と思いつつも


笑顔は絶やさずに話しかける。



「…じゃあ

お願いしてもいいかな?」


『もちろん

じゃ早速行こっか』






今日は部活が禁止されている為
生徒は殆ど下校してしまっていて
校舎内はとても静かだった。




『…で
ここが被服室ね

それから―…』


「ねぇ」


いくつかの教室を紹介していると
突然言葉を遮られた


『どうしたの?』



そう笑顔で訪ねた私は

彼が次に言う台詞に
言葉を失ってしまう。


「いい加減
そうやって笑うのやめてくれない?

偽物だって分かってるから」



“偽物”


その言葉に動揺したけど


笑顔は崩さずに言った。

『どうしたの? 急に

偽物って…』


唇に指を置かれ、口を閉ざす。


長くてきれいな指…。



ふと高階君を見ると
何だか切なそうな表情をしていた。


「今日は帰ろっか?

わざわざ案内してくれて
ありがとな」




…なんで

そんな表情(カオ)するの…?






家に帰ってからも
彼が見せた表情と“偽物”という言葉が頭から離れなかった。



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