エガオ
★6
そう言われても、もう癖のようなもので
それからも私は変わらなかった。
いつの間にか
高階君が来てから1週間が過ぎていた。
気付いたら もっと彼のことを知りたいと思っている自分がいた。
こんな気持ちは初めてで
それが何という感情(モノ)なのか
私には分からなかった。
そんなある日
私は1人の男子に屋上に呼び出された。
「一条さんのこと
前からいいなと思ってて
それで
よかったら付き合って欲しいんだけど」
知らない人からの
突然の告白。
またか…
心の中でため息をつく。
でも表面上は
『ごめんなさい
気持ちはすごく嬉しいんだけど…』
そう申し訳なさそうに言って
『でも
好きになってくれて
ありがとう』
と
笑顔で告げる。
いつもの事だ。
そう
ここで諦めてくれるはずだった。
でも
『!!』
突然腕を捕まれ、言われる。
「…最後にさ
思い出ちょうだいよ」
『思い出?』
「そう
諦めるから
キスさせて」
『!?』
『ちょっ
待って…』
さすがに焦る私。
でも
力で勝てるはずもなく、顎を掴まれ上を向かされる。
「一条さんなら 笑って許してくれるよね…?」
そう言って顔を近付けてくる。
やだっ
―‥くん…!!
バンッ
屋上のドアが思い切り開いた。
そこに立っていたのは
『た…かしな……く…ん…』
真っ先に頭に浮かんだ人だった。
「てめぇ
何やってんだよ」
「あっ
こ これは…」
「出てけよ
二度と麻由香に近づくんじゃねーぞ」
…