笑顔
彼女は心も体も壊れてしまった。



その事を充が知るのは、彼女が充の前からいなくなってからだった。






「彼女は、どうなったの?」


聞いて良いことなのかわからない。

わからないけど、今まで充がひとりで抱えていたものを少しでも分かち合いたい。

それで充が楽になれたらいい。


『わからない。電話をしても、家に行っても取り次いで貰えなかった…。
そのうち家族で引っ越してしまってそのままだ。』


そう言った充の綺麗な瞳が悲しみで歪んでる。


見たことないくらい悲しい顔。


本当に好きで、


凄く辛かったんだね。



「大丈夫だよ。きっと彼女は今頃幸せになってるよ。」


何の根拠もないけど、そんな気がする。



「だから、充も前に進もうよ。人間不信なんて言わないで。

沢山の人間が居るんだから、嫌な人だって居るし、自分と合わない人だって多いよ。だからって、そーゆー人を全て否定してたら、その人の良いとこだって分からないで終わっちゃうよ。

そんなのつまらないじゃん。


沢山の人と接するからいろんな感情、考えがわかるようになるんだから。

私と充だって全ての考えが一緒じゃないでしょ。
でも、だから楽しくない?

いろんな考えが一緒になるから面白いんだよ。」




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