笑顔
私だって嫌いな人いっぱいいるのに…


何を偉そうなこと言ってんだろ。


でも、充にはそう思って欲しくなかった。



今まで会った誰よりも純粋で綺麗な瞳を持っている人。


その瞳を曇らせたくない。



誰かが充を傷つけるのなら、私の全身全霊を掛けて護から。


たとえ私が悪者になってでも…


だから充は前を見つめて進んでいって。




『砂羽…、

俺…、怖いんだ。

仲良くなればなるほど、お前が何かされるんじゃないかって…。

お前がいつか俺から離れてしまうんじゃないかって、怖い。』

何を言ってるの!



「馬鹿じゃないの!私が充から離れるわけ無いじゃん。」



『本当に?』


まるで迷子の子供みたい。

弱々しい声で言う充を抱きしめずには居られなかった。



「本当に。大丈夫だよ。」



ギュッと抱きしめた充は、少し震えていた気がした。


私は只々抱きしめて、頭を撫で続けた。





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