笑顔
携帯を握りしめ、待っても待っても連絡は来ない…


何かあったんだろうか?



昨日の電話で話した感じも、今思えば、少し暗かったかも。


よし。



私の降りる駅、二駅分手前で降りてみることにした。


急に降りる準備をしていたもんだから、慌てた充まで一緒に降りてしまった。


『ここどこ?』

まだ寝ぼけているのか、ボーっとしてる充がそんなこと言ってる。


「用事が出来たから。充、今日はここでね。じゃっ。」


そう言っても付いて来る。


「もう。どーしたの?」


『荷物…重いから、付き合う。』


寝ぼけてても、優しいんだから。

でも、一緒にいるのを万が一黒澤さんに見られて誤解でもされたら…


「大丈夫。自分で持てるから。」


そう言っても聞いてくれてないし。

私から荷物を奪うと、ニカッと子供のような笑顔。


この顔には弱いんだよね…。


「じゃー、あそこで待っててよ。」


指差した場所はファミリーレストラン。


ディナータイムで少し混んでたけど、待っててもらうにはちょうど良い場所。



「じゃー、行ってくるね。」


そう言って席を立ったとき、何かがぶつかって来た。




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