はじめてのCHU
「ストライクッ!バッターアウト!ゲームセット!」
「ワぁーー!!」
「麗サイコー!」
「ナイスピー、ナイスピー!」
ドキ……
カ……カッコイイ…
つい、顔がニヤついてしまった。
麗たちがこっちに戻って来る。
…ヤ、ヤバい。
「お疲れ様で〜す。タオルどうぞ。」
私は、選手たちにタオルを配っていく。
「れ、麗!お疲れっ!!ナイスピッチ☆はい。タオル。」
「おう。サンキュー!」
梨亜が変なこと言うから、変に麗のことを意識してしまう。
「なぁ、りくぅ?ずーーっと、ずっと。だぁれ見て、ニヤついてたんだぁ?」
そんな時、一人の先輩が話しかけてきた。
えっとー……
確か、この人は…
「は、春岡先輩!!部活、お疲れ様です。」
春岡先輩はこの学校の理事長の息子さんだ。
カッコイイし金持ちだし…スポーツ万能、成績優秀……。
もう、言うことなしだね。
でも、ただ一つ。
性格がとっても軽いのが少し難点だ。
噂によると、春岡先輩は毎日相手を、取っ替え引っ替えして遊んでいる、とんだプレイボーイだとか………。
野球部なのに、よくもそんなに夜遊びが……
「おい。何そんなに黙り込んでんだよ。」
「あ、いえ。別に…。」
「どうせ、俺を見てニヤついてたんだろ?」
な、なんて自意識過剰な方なの!
全然違うし!!
先輩じゃなくて、麗を見てたんですぅー。
……え?