はじめてのCHU
ドキ………
「う、うん。」
しばらく沈黙が続く。
「ねぇ麗?」
「何?」
「どうして…そんなに頑張るの……?」
なぜか分からないけど、涙が溢れそうになった。
ハードな練習で麗が怪我をしたら……とか思うと、何ともやるせない気持ちになる。
「……それは……。」
麗は少し迷ったようだったが答えてくれた。
「俺がまだ、野球初めて間もない頃に約束したんだ。……女の子と…そのおじいちゃんと。」
「約束……?」
「うん。高校生になったら、絶対甲子園に行くって…。絶対甲子園に連れて行くって。それで全国制覇するんだって…ね。」
「そっか。そうだったの。……でもね。頑張りすぎて肩でも壊したら今までの頑張りが水の泡だよ…?」
「あぁ。分かってる。………まだ…思い出せない…?」
「え…?」
「いや……何でもない。」
「そう。……実は私もね、甲子園行くって、おじいちゃんと約束してたんだ…。絶対、絶対行くって……。」