君が、好き…?(短)
「おーい、ユナさーん。どうしちゃったの?いきなり黙られると浩くん困っちゃう」
「……きもい」
「言葉のナイフだ!」
頭を上げて浩くんに視線をやると、大げさに腕で目元を隠して泣いたふりをしていた。
……昨日、冗談でも浩くんから告白紛いなことされて、確かに私の心臓はドキドキしてた。
これまでの男の子の時にはなかった感覚だった。悠に言われた時にもなかった反応だった。
「浩くん、もっかい私に“好き”って言ってよ」
「…………はい?」
「私、本当に浩くんのこと好きなのかもしれない」
「……はっ?」
最後の声は浩くんのものじゃなかった。
ドサッと私達の前で何かが落ちる音がして。目を向けると突っ立ったままでこっちを見てる悠。
音の原因は彼の足下に転がっていた鞄だろう。くたりと冷たい床に横たわっていた。