君が、好き…?(短)
「……あんただって、」
声が詰まる。鼻の奥がツンとして、なんでか視界がぼやけて揺らいだ。
隠そうと慌てて下を向いたせいで、溜まってたそれがパタリと机に零れた。
「ちょ、ユナ?」
「……っ、んただって、昨日の今日で、可愛い子、連れて登校してきてたじゃん」
意味分かんない。
なんで泣いてんの、私。
「自分のことは置いといて、説教?勝手だ。最っ低」
止まんない涙がパタパタ落ちて机を濡らして。
隣で浩くんがいつになく焦って私の背中をさすってくれた。
下向いてるから悠の顔は見えないけど、黙りこくってる彼に、心の中でざまぁみろと吐き捨てた。
「私はあんたなんか好きじゃない」
早口に言って教室を出た。
予鈴が鳴って教室に向かう人たちの波を逆走して一階に降りる。
外廊下から中庭の芝生に足を進めると、柔らかなそれが足の裏に馴染んで心地よかった。